わからないままで

一人になりたいと思う。

誰の声も聞こえない場所で、
何にも合わせずにいたいと思う。

誰かといると、色が混じる。

相手が笑えば、少し明るくなる。
黙れば、不安になる。
好きなものを聞けば、自分も好きだった気がしてくる。

どこまでが自分で、
どこからが誰かの色なのか、わからなくなる。

だから、一人になりたい。

そう思いながら、
人肌に触れたいとも思う。

わかり合う瞬間が、少しだけほしい。
名前を呼ばれたい。
温かい手が近くにある夜を、知っていたい。

矛盾している。

一人になりたいのに、
一人でいたいわけではない。

混じりたくないのに、
触れずに生きていくこともできない。

以前は、どちらかを選ばなければと思っていた。

人を求めるなら、自分を開く。
自分を守るなら、誰も求めない。

きれいに決められる人になりたかった。

でも、できなかった。

近づいて、苦しくなる。
離れて、寂しくなる。

何度も同じ場所を行き来した。

いまも、答えはない。

ただ、矛盾したままでも生きていけることを、少しずつ知った。

今日は一人でいたい。
明日は誰かに会いたいかもしれない。

どちらも、自分だった。

わからないままでいい、とはまだ言い切れない。

それでも、
わからないまま歩いている。

歩いていることだけは、
今日も、わかっている。

わからないままで—静川朔