
前の夜は、一晩中書けた。
言葉が次々に出てきた。
手が追いつかず、文字は崩れた。
朝になったとき、ノートの半分が埋まっていた。
これなら、もう書けると思った。
次の夜、続きを書こうとした。
一文字も出なかった。
三十分、白いページを見ていた。
昨日まであれほど近くにあったものが、どこにもなかった。
才能が消えた気がした。
昨日の自分は、偶然だったのだと思った。
もう一度起こせないなら、最初からなかったことと同じだと思った。
ノートを閉じようとした。
閉じたら、また長い間、開かないことを知っていた。
だから、開いたままにした。
次の日も書けなかった。
その次の日も。
金曜日の夜、窓を開けた。
遠くの道路に、赤いテールランプが並んでいた。
一つずつ流れて、見えなくなった。
きれいだと思った。
誰かに伝える必要はなかった。
意味もなかった。
ただ、その光のことを書いた。
三行だった。
一晩中書いた夜に比べれば、何も書いていないような量だった。
でも、三行は残った。
次の日は四行書いた。
その次の日は、また何も書けなかった。
そうやって、一冊が埋まった。
続けることは、毎日たくさん進むことではなかった。
閉じなかったページへ、
戻ってくることだった。
三行しか書けなかった。
でも——
三行は、書いた。
三行しか書けなかった—静川朔