灯りの数だけ
|2025-02-25

知らない街を、通り過ぎた。

窓の外に、灯りが並んでいた。
一つひとつの光に、命がある。
生活がある。
悩みがある。

それだけの数の世界が、いまこの瞬間も、続いている。

自分の世界が、どれだけ小さいか。

そう気づくたびに——
不思議と、心が落ち着く。

小さい、ということは——
いま見えている世界が、全部じゃないということだ。

いま正しいと思っていることも。
いま大事だと思っているものも。
いま抱えている悩みも。

国が違えば、当たり前じゃない。
街が違えば、特別じゃない。
人が違えば、正解じゃない。

それが、救いだと思っている。

人の営みの中で、自分の小ささに救われたことが——
何度も、ある。

あなたが必死に守っているものが、
どこかの街では、誰も気にしていない。
あなたが恥ずかしいと思っていることが、
どこかの国では、誇りになっている。

だから——

少しだけ、出てみたい。

いまある世界から。
いまいる場所から。
いま正しいと思っている世界から。

少しだけでいい。
全部捨てなくていい。
遠くに行かなくていい。

ただ——少しだけ。